今日見かけた救急車、あれはホンモノですか?(仮)

ハッとしたことを何事も無かったかのように伝えるブログ

【天才列伝 その2】両利きの天才

一人や二人は、
自作のマンガを描いている友達が
いることと思います。

あれは、小学生の頃。

友達のハルくんは、時間をみつけては
マンガを描いていました。

当時、ドラゴンボールが始まったばかり。

熱狂的な子供達が、
かめはめ波を出すぞと
自己流でトレーニングし、
実際に開催されているかもわからない
天下一武道会を目指すなんてことが
珍しくない時代でした。

ハルくんもまた、感化され
自己流の格闘マンガに没頭していました。

僕が読ませてもらったマンガは
確か「スーパーゴクウ」。

悪の魔王に父親を殺されたゴクウが
刺客と戦いながら、
仇を討つという物語でした。

最後、宇宙で魔王と戦うのですが、
なぜか洪水が発生し、二人とも流されて
死んでしまうという結末でした。
たぶん、ハルくんは飽きたのでしょう。
描写も雑でしたし。

そんなハルくん。
得意技は両手書きです。

それに気付いたのは
一緒に通っていた公文の授業中。

漢字の練習をしていたとき、
尋常じゃないスピードで仕上げていくのです。

よく見ると、右手が疲れたら左手、
左手が疲れたら右手と
交互に手を替えるのです。

圧巻は、両手同時書きです。
ものすごいスピードでスラスラと
書いていくのです。
さすがに同じ文字ですが
どっちの字も微妙に下手なくらいで
クオリティは悪くないのです。

ハルくんすごいなあ、と
みんなで讃えると、
本当に嬉しそうでした。


そんなある日、
1時間目のチャイムが鳴っても
ハルくんが来ません。

先生になんでーと聞いたところ、
ハルくん昨日な、自転車でこけて
今日、病院に行ってるらしいわ。
とのこと。

ハルくんは、3時間目に来ました。
右手にはギプス。
かわいそうにハルくん、
どうやら折れていたそうです。

でもハルくんは両手利き。
特に支障はありませんでした。

ハルくんは、何も無かったかのように
マンガを描いています。

しかし不幸は続くのです。

夕方、公文に行く途中、
両利きだからと
自転車に乗ってきました。

ハルくん危ないでーと注意をしたのですが
ハルくんは得意げに乗りこなしています。

「片手ウイリー!!」ってハルくんは叫びました。

が、ハンドルから手が離れ、
すごい勢いで後ろへのけ反りながら、飛びました。

ハルくんに近寄ると
ギプスには「スーパーゴクウ」の絵が。
今までに見た中で一番上手に描かれていました。

ハルくんは、こう言いたかったのでしょう。
右でも左でも、僕は上手に絵が描けるんだ!と。

ハルくんは、泣いています。
痛い痛いと泣いています。

僕の家が近かったので、
とりあえずおかんに言って
車で病院に連れていってもらいました。

両手ギプス。

それがハルくんの新しい姿です。

左手のギプスにスーパーゴクウを描いてあげたのは
言うまでもありません。

天才は、ときに無茶をする。
今日はこのへんで。