今日見かけた救急車、あれはホンモノですか?(仮)

ハッとしたことを何事も無かったかのように伝えるブログ

夏の恋(前編)

20歳のとき、
とあるレストランで
アルバイトをしていました。

コンセプトは
オールドアメリカン。
ライフルの模型や
ルーレット台があちらこちらに
置かれた店内は
いつもロカビリーの曲がかかっていました。

そこの厨房で働いていた吉田くん。
当時、22歳という若さでランクルに乗り、
金のネックレス、茶髪という出で立ち。
調理系の専門学校に籍を置きながら
バイトを3つ掛け持ちという
非常に生命力の高い人でした。
車だけじゃなく、学費も全て自身で稼ぐ
すごい人でしたね。


8月。

いつもの如く
吉田くん、愛ちゃん(フリーターの女の子)、
僕といった週4以上勤務の
ヘビーローテーションメンバーの日。

なぜか店長の姿が見当たりません。

つまみ食いでもしてるんちゃう?
(吉田くん)

ボードし過ぎて雪山に逃避した?
(僕)

しゃくれたあごがドアにひっかかって
出られへんのちゃう?
(愛ちゃん)

などと不謹慎なことを言って
笑ってました。

すると、一人の女の子を連れて
現れました。

美女としか形容しようがない女の子。
軽く焼けた肌、
端正な顔立ち、
何より元気があって愛想も良い。
生まれ持ったカリスマ性が
出まくっていて、敗北感を感じるほどでした。

彼女は、関西外大の学生さんでユウちゃん。
夏休みを利用してのバイトだそうです。

吉田くんをチラリと見ると
真剣な表情でユウちゃんを
見つめています。

初対面のお客さんに
「へい、かわいこちゃん」とか言って
距離を縮めることができる人間が
何も言葉を発しません。

これぞ、一目惚れの瞬間。
キュンと音がしたように思います。

吉田くんは、自分がシフトをつくっている
特権を駆使して、
いつもユウちゃんと被るように
組んでいました。

しかし、ユウちゃんは月水木。
吉田くんは火金土日。
完全にすれ違うのです。

なので吉田くんは、
店長に月水木シフトに
代えてもらえないかと
「家の事情で」との理由で
申し出ました。
が、じゃあ火金土日は誰が出るんじゃと
あっさり却下され
結局、週7日勤務になりました。
休みより、愛を優先。
これぞ、恋愛のパワーです。

でも、みるみる痩せていく吉田くんが
当時は気が気でなりませんでした。


ユウちゃんの夏休みが
あと10日ほどで終わるある日の朝、
レザボアドックスのテーマ曲が鳴りました。
ポケベルです。

液晶を見ると
吉田くんからのメッセージです。

\祝/ユウトヒラパーイク\(^_^)/

ユウちゃんとヒラパーに行く約束を
取り付けたそうです。

すぐに愛ちゃんに連絡し、
尾行を約束しました。
ドキドキしますね。

続きはまた。