今日見かけた救急車、あれはホンモノですか?(仮)

ハッとしたことを何事も無かったかのように伝えるブログ

東京

研修で東京に来ました。

 

東京に来ると思いだすのは、

綾瀬で出会った軍人のおじさんのこと。

 

前職で営業をしていた頃、

月の半分が東京出張、という時期がありました。

 

サラリーマンになる前は

スーツ着て「俺、東京出張やねん」とか

そんなセリフにあこがれていましたが、

実現してみると、働く場所がちょっと替わっただけで

なんてことなかったことを憶えています。

 

宿泊は、綾瀬にあった会社の寮。

2LDKでほとんど顔も知らない同僚のおじさんたちが

雑魚寝に近い状態で寝泊まりしていました。

 

僕は、サッカーの合宿とかよく行っていたので

それほど抵抗がありませんでしたが、

2~3人、夜中に抜け出してそのまま会社に来なくなったとか

ありましたね。

 

そういえば、明け方くらいに

酔っぱらったおっちゃんが僕の部屋に入ってきて

「俺のことはほっといてくれ」と

突然、訳の分からないことを言って、

すぐに退職されたことを今思い出しました。

 

それはさておき、秋口に差し掛かったある日の夜中、

確か1時くらいだったと思います。

 

転職の相談に乗っていた看護師さんから

電話をいただきました。

他の同僚も寝ているので、迷惑かなと思い、

寮のすぐ前にある通称「鬼が島公園」のベンチに移動しました。

※めっちゃでかい鬼の遊具があったので、僕が名づけました。

 

聞くところによると、そろそろ転職を決めたいから

来週に面接を組んで欲しいとのことでした。

そこで、かねてから提案をしていた3つの病院の面接を設定する約束をし、

電話を切りました。

 

その直後です。

僕の後ろに人が立っていました。

直立不動です。

 

びっくりしましたが冷静を装い、

「どうされました?」と聞くと

子供はこんな夜遅くに出歩いたらダメだ、と

僕を子供と勘違いしたのか、強めに注意されました。

 

子供じゃないですよ、もう32歳ですよと言うと

32歳なんて、俺からすると子供だと言い返されました。

 

その勢いのまま、日本は戦争に負けていない。

なぜなら、俺が生き残っているからだと

言い張るのです。

 

どうみても50代です。

間違いなく戦後生まれです。

 

どうしようか迷ったのですが、

「おじさん、戦後生まれですよね?」と質問すると

何もわかっていない、お前は何もわかっていない

みたいなことを繰り返し繰り返し言われました。

 

こらあかんわと思った矢先、

巡回の警察官が通りかかりました。

 

別にからまれていた訳ではないですが、

すみません、変な人がいますと呼びとめ、事情を説明しました。

 

その警察官がとつとつと軍人のおじさんに向かい、

「タダさん、戦争は終わったよ」と一言、

敬意をはらってはっきり言いました。

 

タダさんは、泣きました。

ワンワン泣きました。

鬼が島公園に響き渡り、

心なしか、鬼も泣いているように見えました。

 

僕は何か、負けた気分ですごくさみしくなり、

あのタコ部屋に戻りました。

 

これが僕の東京です。