今日見かけた救急車、あれはホンモノですか?(仮)

ハッとしたことを何事も無かったかのように伝えるブログ

抜けない。

小学2年生の夏、
いつものように
近所の友達の家を訪ねる。

不在。

守くんは、いるだろう。

風邪。

ああ、暇だ。
一人で何して遊ぼうか。

夏休み中、
隠されているファミコンでも探すか。

あ、今日はオカンが休みやから
そもそもあかんわ。

とりあえず駐車場いこか。

いつも遊び場にしている駐車場。
誰かいないかと行ってみることに。

誰もいない。

あー、暇だ。

ふと目についた駐車場を囲む鉄の柵。

あそこに頭を入れてみよう。
おー、入った。
やったぞ、俺の見立てはすごいもんだ。

喜びもつかの間。
抜けない。
頭が抜けない。

上下に動かそうが、
ねじろうが、全く抜けない。

おーい、と叫んでみる。
誰も来ない。

誰かー、ともう一度叫んでみる。
誰も来る気配がない。

鈴の音がした。
うちで飼ってる猫のミューだ。

誰か呼んできて!

僕の足元に頭をこすりつけ、
すぐさま鈴を鳴らしながら
立ち去って行った。

うわー、と暴れてみる。
抜けないし誰も来ない。

真夏のだだっ広い駐車場。
柵に頭を突っ込む小学生。
さぞかしマヌケな姿だろう。

諦め、頭を突っ込みながら
座り込む。

そのとき、
「なにしてんの!」

いつも犬の散歩をしてる
カネマツのおばちゃんが来た!

ちょっと待っときと
待っていたらサイレンの音とともに
消防車がやって来た。

何やら機械を使い、
鉄の柵を拡げ、僕を救出。


翌週の回覧板。
カネマツのおばちゃんが
消防署のえらい人に表彰されている写真が。
どうやら、首が挟まっていた子供を
助けて表彰されたらしい。

近くにいたミューに
誰か呼んできてくれたら
お前が載ったかもなあと
頭をひとなで。
ニャーと鳴き、やっぱりどこかへ行った。