流される。
「おーっ!」
ビックリしました。
僕の斜め後ろを歩いていた長髪のおっちゃんが
急に大きな声を発したので。
どうやら、20mほど先からこちらに向かってくる
シルクハットのおっちゃんと知り合いの模様。
シルクハットのおっちゃんも
こっちに向かって手を振っています。
いよいよ対面。
雰囲気から察するに、
ともに人違いのようでした。
シルクハットのおっちゃんが
まあまあ大きな声で「失礼」と言い、
長髪のおっちゃんは、45°くらいの角度で会釈。
二人はすぐに、速足でその場を去りました。
多少疑いがあっても、相手の出方次第で
流れに身を任せてしまうことがあります。
シルクハットおじさんと長髪おじさんの
どちらがイニシアチブを持っていたかは
解りませんが、
本来ならすれ違う場面で
チラリと顔を盗み見て、
互いを確認しあうのが一般的でしょう。
それを、長髪おじさんの
「俺はその、シルクハットをよく知ってるぞ」
という強い意思表示によって
「あれ、もしかしてあの耳にかかる髪の感じや
昔、チャラかった面影は俺の知ってる
長髪のアイツだろう」と
シルクハットおじさんに想起させ
思わず呼応してしまったのではないでしょうか。
自分の意思表示次第で
相手の行動さえも変えてしまう。
それが手練手管のおじさんであっても。
そんなことをシルクハットおじさんと
長髪おじさんから考えさせられました。