今日見かけた救急車、あれはホンモノですか?(仮)

ハッとしたことを何事も無かったかのように伝えるブログ

yuki.miyaji@hotmail.com

ユキ・ミヤジ

または

ユウキ・ミヤジ

 

その名前を僕は

忘れられない。

 

僕が知らない世界の存在を

知らせてくれたのだから。

 

 

16年ほど前のこと。

 

郵便局バイトの

夜勤明け。

 

帰宅後に

gatewayのPCを立ち上げ

メールチェック。

 

すると、Hotmail

新着通知が。

 

送り主を見ると

yuki.miyaji@hotmail.com

とある。

 

はて?

誰だろう。

 

ミヤジという名前に

全く記憶がない。

 

「名古屋に持っていくもの」

確か、そんなメールタイトルだった。

 

申し訳なかったが

本文を読むと

どうやら名古屋へ

旅行予定のようで

その際の持ち物についての

相談メールのようだ。

 

そのメールに対して

間違えて送ってますよ。と

返信してあげた。

 

翌日、メールチェックをすると

またミヤジからメールが。

 

タイトルは

「一本じゃなく二本?」

 

本文を読むと

釣りに持っていく竿は

一本か二本、どっちにする?

という相談。

 

僕からの返信は

確認していない様子。

 

またミヤジに

間違えてますよと

返信した。

 

3日後

ミヤジから1通届いていた。

 

タイトルは

「ただいまー。」

 

なぜ気づかん。

 

本文には、

さっきファミレスへ行って

帰ってきたというもの。

 

ファミレスへ行って

帰ってきただけで

メールするのか?と

甚だ疑問に思いつつ

またミヤジに返信。

 

「送り先を間違えてますよ!」

というタイトルで。

 

それから1週間ほど経ち、

ミヤジからメールが

来なくなった。

 

やっと気付いたか、ミヤジ。

 

と思いきや翌日、

届いた。

 

タイトルは

「ごめんなさい(sorry)」

 

気付いてくれたか、ミヤジ。

 

歓喜に震え

本文を読んでみる。

 

昨日寝坊して、

約束をすっぽかしたことが

書かれてあった。

 

気付いていないことに愕然。

 

送り先を間違えていることに

いい加減気付いてくれないか。

 

ていうか

相手から返事がないのに

なぜ一方的にメールを

送ることができるのか。

 

その精神状態が

いよいよ怖くなり

もうHotmailのメールボックスには

触れないようになった。

 

 

それから3ヶ月ほど

経っただろうか。

 

何げなく

Hotmailのメールボックス

確認したところ、

ミヤジから10件ほど

メールが届いていた。

 

一番最後の

メールタイトル。

それは「最後のメール」。

 

ミヤジが手を引いたことに

胸をなでおろす。

 

しかし本文に書かれていたのは

想定外のものだった。

 

最初から最後まで

お叱りの文章が。

 

間違いを正すメール返信を

なぜ無視するのかという

ものだった。

 

ミヤジは、

宛先を間違えていることを

分かった上で僕へ送っていたのだ。

 

目的は何か。

何が得れるのか。

 

意図が全く分からず

僕はミヤジへメールを

送信した。

 

わかったよ、ミヤジ。

そういうことなら

付き合うよ。

 

送るタイトルは

「最初のメール」と

決めていた。

 

「ミヤジよ、これが始まりだ」と

伝えたかったからだ。

 

その後、ミヤジからは

返信がない。

 

 

時間が有り余っていた

16年前のことだ。

ひったくり

今考えるとすごい。

 

27歳という年齢で

ローソンの夜勤バイトを

していたなんて。

 

でも、全く将来に対して

恐怖や不安を感じることが

当時はなかった。

 

むしろ、先が見えないことを

たのしんでいたように思う。

 

だって同じ人間だものって。

 

僕の楽観主義は

その頃に育まれた。

 

ついでに言うと

「誰でも死んだら骨と灰」は

そのときからの座右の銘

どうせ誰もが死んで

灰になるのだから

悔いなく生きようという

戒めだ。

 

✳︎

 

ローソン時代のこと。

 

夜勤明けのバックルームで

朝飯を食べていると

オーナーが部屋に飛び込んできた。

 

「中岡くん、警察来てるで!」

 

身に覚えはない。

 

「中岡さんは

ちょっと変わった人だから

ドーピングしてるのでは?」

と誰かがタレこんだのか。

 

いわれもない濡れ衣を

どう払拭するか考えながら

店内で待つ警察のもとへ

赴いた。

 

予想外の若い女性警察官と

予想通りの40代くらいの

私服刑事。

 

「昨夜、ここのローソンで

買い物した女性が

この先でひったくりに

あいましてですね。

不審な男性を

見かけませんでしたか?」

と明るい口調。

 

全く心あたりがありません。

 

そう答えると、少しがっかりした

様子で、また思い出したら

教えてくださいと言った。

 

警察官は、昨夜の防犯カメラの

録画映像を解析し、

後日にでも確認のため

寝屋川警察まで来てほしいと

言い、去っていった。

 

後日、夜勤明けに

寝屋川警察へ。

 

案内されたのは

取り調べ室。

 

TVで見るアレと同じ

机と椅子、窓があるのみの

殺風景な部屋だ。

 

部屋に通され

一人で待つ。

 

すると、若い刑事さんが

入ってきて、手には

ラミネートされたA4のシート。

 

「ここから選んでくださいね」

と、そそくさと退室。

 

手渡されたシートを見ると

モーニングのメニューが。

 

サンドイッチセット

トーストセット

ブリオッシュトーストセット。

 

取り調べ室風のカフェか?

 

思わず勘違いしそうな展開に

拍子抜けした。

 

選んだのは

500円のサンドイッチセット。

これまた想像通りの

サンドイッチセット。

 

よし決まった。

 

そのとき

先日来た中年の刑事さんが

入ってきた。

 

手にはA3くらいの紙が

2〜3枚。

おもむろに机に広げると

4×4の計16枚の画像があり

それぞれに人が写っていた。

 

こないだの防犯カメラの映像を

画像にしたんやな。

 

1枚目。

 

この中で見覚えのある人は

いませんか?

 

目を動かし

画像を一つひとつ

確認してみる。

 

誰一人として分からん。

目をつぶってみたものの

かすりもしない。

 

2枚目。

 

常連のウーヤンや

23の顔は判別できたが

あとは全くわからない。

※ウーヤン:右翼のおっちゃん

※23:マイケルジョーダンの

バッシュを履いてるオタク

 

3枚目。

 

一枚一枚、目を凝らすが

やはり分からない。

人間の記憶とは

こうも曖昧なものなのか。

 

分かりません。

 

もう一度

全てのシートを見回し

刑事さんに返そうとした

その瞬間

中岡アラートが反応した。

 

この人、見覚えがあります!

 

丸顔で太め。

口とあごにヒゲがあり

眉毛も濃い。

白黒の画像だが

見た感じは革ジャンを

着ている様子。

 

分かりました!

ご協力ありがとうございました。

 

そして、刑事さんと

同じタイミングで立ち上がり

取り調べ室を後にした。

 

サンドイッチセットを

選ばせたのは

なんやったんやという

疑問を残して。

 

 

それから1ヶ月。

取り調べ室の一件が

風化しかかっていた頃

バイトの同僚の送別会で

近くの焼肉屋へ。

 

一番最初に到着し

入店。

予約者の名前を告げ

2階の座敷に。

着座したタイミングで

水を持ってきた店員に

見覚えがあった。

 

そう。

ひったくり犯と

僕が指摘した彼だ。

通称ヒゲマルくん。

 

ヒゲマルくんは

勢いよく発声した。

 

お客様、ご来店でーす!

 

お待たせしましたー!

 

ご注文は

よろしいでしょうか!?

 

こちら

本日のおすすめですよ!

 

これ、めっちゃ美味いっす!

 

みなさん、どういった

集まりなんですか?

 

綺麗な方が多いですね!

 

僕、このバイト

めっちゃ好きなんすよ!

 

親がたまに店に来るんすよ!

 

 

 

絶対違うわ。

 

100%犯人と違う。

 

この人が悪いことを

するわけないわ。

 

その日は

お詫びのつもりで

石焼ビビンパを2杯食べた。

 

翌日、夜勤明けに

寝屋川警察を訪問。

間違えていたことを

伝えるためだ。

 

あの刑事さんを呼んでもらい

ひったくり犯が地元の

中学生ヤンキーだったと

言った。

 

また、ヒゲマルくんには

接触していないと聞き

ホッとしたのだった。

ピエンミー

博多にて朝食。

 

13階のレストラン窓際が

とても景観がよく

優雅な気持ちになる。

 

ふと眼下を見ると

川沿いを歩くカップル。

歳は20代前半だろうか。

 

ん?

 

男性が女性の三歩ほど後ろで

何かを振り回している。

 

目を凝らすと

自撮り棒らしきもの。

先にはカメラが装着されている。

 

女性は前を向きながら

大声で何か叫んでいる様子。

 

ケンカでもしてるのかな。

でも棒を振り回すのは

危ないよ。

 

10mほど先の信号で

女性が止まる。

男性との距離が詰まる。

 

どうするのか。

まさか棒で殴るのか?

カメラがついているから

そんなの当たったら

ケガするぞ。

 

あっという間に

女性との距離は

目と鼻の先。

 

ちょうど信号が青になり

女性が横断歩道を渡る。

 

すると男性が女性を追い越し

右へ曲がった。

女性は左へ。

そして、彼女は振り向きもせずに

右手を高らかにあげ

Byeとでも聞こえそうな素振りで

颯爽と歩いていった。

 

どんな関係性だ。

 

こういうコミュニケーションが

成り立つ関係性と

シチュエーションの意味が

わからない。

 

ふと横を見ると

パンを食べている

観光客らしき中国の方。

 

中年のご夫婦だ。

 

奥さんが

しきりにピエンミーと

言っている。

 

何か言葉が

耳に引っかかる。

 

「便秘」という意味だった。

 

 

あいみょん

まもなく42歳。

「えー?若いですね!?」

そう言われることも

少なくない。

 

されど僕の心と身体は

42年間、

使われてきたので

磨り減っている。

 

時間と言うのは恐ろしい。

 

 

2ヶ月ほど前の 東京出張。

 

6:17京都発の新幹線に

乗る予定だった。

 

しかし僕としたことが

バスを逃してしまうという

失態をおかしてしまう。

 

Yahoo!路線で調べたところ

京都駅に着くのは6:16。

 

近鉄降り口から

わずか1分で

乗らなきゃならない。

 

走るぞ。

 

京阪、近鉄に乗車中、

呪文のようにそう唱えながら

どのコースを走るか

シミュレーションしていた。

 

近鉄京都駅。

 

幸い、

先頭車両の扉前に

ポジションを取ることができ

幸先良い滑り出し。

 

扉が開き、

スーツケース片手に

勢いよく飛び出した。

 

一歩、二歩。

足の感覚も悪くない。

 

よしいける。

 

新幹線改札を通過し

最終関門の階段に

差し掛かった。

 

そのとき

発車のベルと

それを知らせるアナウンスが。

 

急げ!

努力が無駄になる!

 

一段飛ばしで登り

残りあと三段。

 

足が上がらない。

一段も上がらない。

 

階段残り三段で

立ち尽くしている41歳。

息荒く呆然と

新幹線を見送るその姿は

まるで積年の友を

送り出すかのごとし。

 

このとき、自分は

いよいよおじさんだと

悟ったのだ。

そんなおじさんが

今ハマっているのが

あいみょんだ。

 

おじさんが発すると

違和感があるランキング

2位くらいか。

なお、1位は

きゃりーぱみゅぱみゅ

そもそも

ちゃんと発せないし。

 

今、僕の頭の中の 85%は

あいみょんのことで

占められている。

 

会議や打ち合わせで

大事な話をしていても

おそらく考えている。

 

こうして

ブログっている最中も

もちろん考えている。

 

子供達に告ぐ。

大人もこんなもんだよ。

ブログる

「る」って便利です。

バズる。

:SNSなどに投稿した記事が拡散され、とんでもなく広がること

バエる。

:インスタグラムにて目を惹くような、画像を撮影できるシチュエーション

シマる。

:シマムラに行く

デコる。

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ジワる。

:じわじわと笑いがこみ上げてくる

ゲる

:食べたもの、飲んだものをぶちまける

ブログる

:一年ぶりにブログを再開する

変人、家を買う。その7

営業マンが査定のため、

今住んでいるマンションに来た。

 

この日のために、

家を掃除。

フローリングにはワックス、

窓を磨き、

玄関を拭き掃除。

ベランダも、高圧洗浄機でピカピカに。

 

営業マンが

10年住んでいる家で

こんなにキレイにされているのは

なかなか見ないですよ、と言う。

 

家の中のいろんな場所を撮影され、

1週間後にご報告いたしますとのこと。

 

期待してもらっても

良いかもしれませんと言葉を残し、

帰って行った。

 

聞くところによると、

マンションの査定価格には

いろんなものが影響するらしい。

 

スーパーや学校、公共交通機関などの利便性のほか、

理事会や自治会が機能しているか、

空室がどのくらいあるか、

防災対策が充実しているか、

高齢者や子育て世代の支援の有無、

近隣の景観や衛生環境といった

物件価格を左右することが

たくさんあるそうだ。

 

特にうちのマンションは、

上記のことが非常に充実しているらしい。

 

確かに、いろいろやっている。

 

週に一回、

高齢の住民向けに食事会を開催し、

プロボクサーやプロ歌手、

水泳の全国大会で入賞した小学生、

絵描き、手品師、アマチュア落語家など

趣向を凝らした催しを開催。

 

年に一度は自主管理公園にて

地域住民も参加可能な

祭りを盛大に開催。

消防車の展示や移動動物園、

出店、フリマのほか、

枚方ゆるキャラ「くらわんこ」が訪れる。

住民には500円分の金券を配布。

 

夏にはスイカ割、カキ氷が振る舞われ、

冬にはクリスマスイベント、餅つき大会など

理事会主導の催しが年間通して目白押し。

 

理事会の方々の地道な努力が

マンションの価値向上に貢献しているのだ。

 

芦屋や西宮、世田谷、白金台など

それらが高級住宅地である理由は

自治体や地域住民の努力によるものだと

聞いたことがある。

 

道幅を広くする、建物の高さ制限を行う、

商業地の制限、風営法の規制区域指定など

諸々あるそうだ。

 

とにもかくにも、

マンションの査定、がんばれ。

高く売れてくれ。

 

変人、家を買う。その6

担当してくれた営業マンは

本当にしっかりしている。

 

どんな質問でも

すぐに答えてくれるのだ。

 

論理的でわかりやすい。

熱心で親身。

ほどよく押しも強い。

 

一通り、物件の話を終え、

お金の話になった。

 

軽い気持ちで立ち寄ったことや

手が届くような価格とは思えなかったこともあり、

ゆめから目が覚めたように思えた。

 

資金計画の話では、

まず今住んでいるマンションが

どの程度の価格になるのか

査定しなければならないそうだ。

 

営業さん曰く、

結構良い値段がつくと思いますよと言う

満面の笑みを見て

あながち夢物語ではないんじゃないかと

夫婦して期待値が高まる。

 

 

昔、PCエンジンハドソンから発売され、

カトちゃんケンちゃんが大流行。

落ち着いた頃にNECから

世界初のCDロムを使ったCDロムロムという

ハードが発売された。

 

これは画期的で、

PC エンジンと互換性がある

ハードだった。

 

僕は欲しくて欲しくてたまらなかった。

でも、その時代で3〜4万円したと思う。

小太りの小学生にプレゼントするほど

子煩悩な親ではなかった。

 

が、父親と入浴中

CDロムロムを熱弁したところ、

ドリフが好きだったこともあり

まんざらでも無い顔をしていた。

むしろ、興味示して質問してきたくらい。

 

今月はクリスマス。

もしかして、もしかするぞ。

エアーCDロムロムをしてみたり

高橋名人のイベントに行ってみたり

あんなに、一日一日を噛み締めて生きたことは

後にも先にもないほど、12月24日を待ちわびた。

 

12月24日。

 

21時頃、ドキドキしながらも

いつの間にか眠っていた。

 

夜が明ける前の薄暗闇の中、

誰かが枕元に。

大きな箱を、ソッと置き

忍び足で立ち去っていった。

 

見たい。

見たくて見たくてたまらない。

うっすら目を開け枕元に視線を向けると

CDの文字が。

 

嬉しくて泣いたのは

後にも先にも無い。

もう声を殺して泣いた。

 

夜が明け、箱を見た。

英語の文字が書かれた箱だ。

大急ぎで開ける。

取り出すと、正方形の機械が一つ。

縦長のスピーカーが二つ。

 

説明書を探し、開くと

全文英語。

何が書いてあるか、全くわからない。

だって小学生だから。

 

たった一つ分かったことは

これがCDロムロムでは無いということ。

のちのちに分かったのは、

コンポという代物だった。

 

悔しくて仕方がなかったので

とりあえず電源を入れてみた。

CDがないので、ラジオをつけると

ハドソン所属の高橋名人

いろんな自慢話をしていた。

 

 

今回こそ、期待ハズレにならないことを

切に望んだ40歳の春。